私は名古屋の音大に通いました。実際に卒業したから分かるのですが、音大で音楽系に就職する人ってほんの一握りなんですよ。夢を追い続けたい人は院生になります。しかし、院生から音楽系に進む人もほとんどいません。就職先を見つけられなかった人が逃げ場として院生を選ぶケースが大半だからです。
どうして音大から音楽系の職業に進む人が少ないのか・・・それは現実があまりに厳しいからです。
ほとんどが狭き門
1,000万円近くの学費をかけたのに音楽系の職業はほとんどありません。スタジオからの募集はもちろん、オーケストラからの募集も数名ずつ。大手企業のように数十人~数百人を取るような企業はありません。
いきなりフリーランスで活動するのもコネが無い限り不可能です。もちろんプレイヤーとしてまとまったお金を得るのも不可能でしょう。音楽系の職業は腕の良い人が定年無くずっと仕事をしているからです。
結局は下積みすることになります。
地獄の下積み生活
例えばレコーディングエンジニアになるためにスタジオに就職したとしましょう。まずは雑用からです。電話当番からスタジオの予約関連。マイクなどの片付け、メンテ。実際に機材に触れるのは仕事が終わった後の少しの時間だけ。美容師見習いのような生活になります。貰えるお金はと言えばアルバイト程度。良いスタジオでも15~18万円ほど。地方の小さいスタジオなら10万円ちょっとした貰えない可能性もあります。
数年後にアシスタントとして認められてようやく人並みの給与がもらえるようになります。大手のスタジオなら20~30万。歩合制で50万円貰えるスタジオもあると聞きました。こうなれば夢が現実味を帯びてきますよね。
音大を奨学金を貰って通っていたらどうでしょう。下積み時代は毎日カップラーメンのような苦しい生活になります。これが厳しくて挫折する人がほとんどなんです。
ちなみにプレイヤーやプロピアノ演奏者はもっと狭き門になります。ピアノ演奏だけで食べていけるのはコンテストに優勝した人だけ。日本中でも数えるほどです。
募集が多い職業は・・・
安定した音楽系の職業、それが学校の先生です。ピアノ選考の人はほとんどが学校の先生になろうとします。もしくは人を喜ばす職業・・・結婚式場のスタッフやサービス業に勤めます。私も一時期は結婚式場でプロカメラマンをしていました。
高い学費を払ったのに薬剤師や医師のように給与が上がる可能性がありません。だから音楽系の職業を挫折する人が多いのです。
それでも普通の職業に就きながら音楽を続けることで芽が出る人がたくさんいます。音楽は続けることが一番大切なんです。ネットで小さく発表し続けていれば誰かの目に留まるかもしれません。音楽系の職業に就くことはもちろん夢の一つとして大切なことですが、〇〇歳まで続ける!と決めて行動することも必要です。